2018年10月14日日曜日

音楽家こそハイヒールを










小さい頃から目の前に
ピアノ鍵盤か書道の硯(すずり)があった。

特に書道は小学、中学の頃は毎日2,3時間は
厭でも書いていた。




パリで在学していたコンセルヴァトワールで
ピアノコンサーティストのディプロムに挑むため
一日平均7-8時間は最低でもピアノに向かい
時間を確保し、その中でお生徒さんに教えに行っていた。




何を言いたいか。


練習時間の自慢ではない(やるのが当たり前であるから)。



私は書道を始めた2歳半から

全てが「前のめり」「猫背」の人生だった。笑



なんという人生....






先日昇天されたピアノのお師匠さんには

「君は日本で誰もその姿勢でピアノを弾くことに
注意してくれる人はいなかったのか?呼吸法もだ」と


ため息をつかれた。


終いには「日本の音楽教育では楽器に向かう姿勢法や
呼吸法はないのか?君は本当に音大を出たのか?」とも^^;




最終的には

「技巧云々の前に、君は姿勢を直さなくてはいけない」
とはっきり言われた。




普段でも火のついたパイポや、飲みかけのファンタの瓶が
レッスン中に飛んでくるのと同時に



何度も何度も何度も気が遠くなるほど
背中と首の位置を「グイッ」と力ずくで毎時間直された。




当時は技巧もセンスも呼吸も姿勢も全て一気に
指摘されて頭がパンクしそうだったが


その厳しい記憶が
今のASAMIさんのご指導に全て繋がる。






(バッハ弾きのグレングールドなどは例外としても、
私のお師匠さんは当時80代後半だったが背筋がシャンとしており
ピアノ演奏中もその姿勢が崩れることがなかった)






















まずは結果から。



胸を開き、肩を広げ、首もまっすぐに、そして呼吸をしながら
弾く「1音」はそうではない猫背で浅い呼吸で弾く「1音」とは
全く違う。



お師匠さんが毎回「ほらね」ここまで
姿勢が悪い時の「音」とデコルテを開いて弾いた時の「音」が
違うだろう?わかるだろう?と



私は非常にミラクルのように、魔法にかけられたように
驚くほどの「音の解放振動、突き抜け感」と感じずにはいられなかった。




そしてシャンソンコンクール出場や、自分のワンマンコンサートを
開催を多くして行くうちに



自分の履いている((靴))によって姿勢、音、テンションが
全く異なることを実感し、今でも実験中だ。






♪ローヒールの場合

1. 確かにペダルを踏む際には安定するが姿勢が前のめりに落ちる。

2. テンションが上がらない。

3. ローヒールだからと言ってペダルを踏む際に
音(靴の底と床の摩擦音)がならないとは限らない。





♪ハイヒールの場合(10cm以上)

1. 確実に姿勢が上がり、軸が取れる。

2. 筋肉をローヒールよりも使うため腹式呼吸がしやすい

3. テンションが上がり、気持ちがピシッとなる。

4. ステージ袖から客席に出てくる際から姿勢が決まり
 立ち振る舞いが美しくなる





その他


私はまだクリスチャン ルブタン未経験だが
ジミーチュー、シャネル、ヴァレンチノ、セルジオロッシ、ジヴァンシーの
10-12センチのハイヒールでピアノ弾き語りをしてきたが



ハイブランドで値段が張るものであっても
自分との相性や、そのヒールとピアノペダルとの相性も
あると思う。


残念ながらヴァレンチノはどこの会場でも
ペダルを踏む際に余計な音が出てしまい気になり
集中が出来なくなってしまった事態が起きた。



そのハイヒールが悪いわけではなく
ペダルとの相性、床との相性、私のペダル癖には合わないと
判断し、コンサート用ではなく外出用に下ろした。




そして演奏家はプロでも誰だって緊張する。
それを見せないのがプロだが

楽屋で、ご挨拶の場で、
自分の心と身体にしっくりくるハイヒールは

緊張を高めるよりも
自分への自信と、安定をパートナーとなって
静かにプレゼントしてくれるのだ。






と言っても、私は勉強中の身であり
まだまだなのだが



今までパリで、日本で経験してきたハイヒールを履いての
コンサートの感覚は全て財産であり


今後への序章であり道しるべとなる。





音楽とハイヒールについての関係性は
本当にまだ書き足りないので、また改めて綴る予定です。






今、思うのはこれからよりハイヒールを歩き方を学び
その恩恵を音楽に活かしたら


私の音楽は進化し、良い方向へ行くだろうということだ。




自動車の運転を知らない人が
自動車を運転したら危険のように
ハイヒールも同じことが言えるのであろう。




ハイヒールの履き方、身体の使い方を知らない方は
ハイヒールを履いたらどうなるか、ということだ。



ハイヒールの深みを学ぶ。
それは人体学、解剖生理学を学び

人生と、己を学ぶのだ。




今、より自分らしい健康と音楽人生を
私は選んで行くのだ。





ハイヒールは
素晴らしい。








長い文を読んで下さり
どうも有難うございます。




Amitié.




Le son de la Mer
海音