2018年12月10日月曜日

蛾の粉を見逃さない






今宵は書きたいことがないのだが、Macに向かおうと何故か思った。


最近はMacを良く持ち歩いている。
家よりもカフェや良いホテルでMacを開く方が気持ちが解放されて良い。




泥水の中に美しい趣のある紅葉に出逢った。

ぼんやり眺めていたが、その時間が良かった。

最近の、名もない時間の出来事だった。







昔、人に自分を言葉で表現するときに

「夜、街灯に集う蛾から舞落ちる、細やかな粉すらも見逃さない人。
 そう言う、人でありたい。」

と言って自分を表現していた。




余談だが
以前、私は蛾の標本収集に加えて、蛾の歌や、「蛾」と言うタイトルの
CDを発表していた。狂気的、しかし豊かで美しい醜さ、が大好きだ。


姿形は違うが、同じ命を持つ生命体として
どうしようもなく、同調、共鳴をせずにはいられない生き物。

それが私にとっては「蛾」だったのだ。

それに蝶よりも美しすぎる蛾は本当に多くいるのだ。


おまけに、パリの標本屋で
蛾の様にべったり張り付いて
時間を忘れるほどに店に入り浸っていた。






そしてピアノのお師匠さんからは

「いつも心の中の美しいガラスコップに、なみなみと水を入れなさい。
しかし、一滴もこぼしてはならぬ。緊張感と自分を律せよ。」と



パイポの煙を気持ち良く燻らせ
鋭い瞳の奥で何度も言われた。



そう生きて来た。



そして最近になり私のパリでの保証人でもあったお師匠さんが
もう、この世にはいないんだな....と思える様になった。





彼のいない今、当時の言葉がいまの私に突き刺さるのだ。








ここ長らく自作曲が浮かんでこない。







突き抜けた青空に、紅葉が映えるよりも

泥の中にたたずむ、この紅葉が好きだ。

それが歌だと、自分の感性を信じている、私は。






Amitié




Le son de la Mer
海音




そろそろハイヒールの事も綴りたい。